2024.04.16

学会報告|AACR Annual Meeting 2024

皆さん、こんにちは。

6年ぶりのアメリカ入国審査で少し緊張してしまいました、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
2024年4月5〜10日に米国サンディエゴで開催された、AACR Annual Meeting 2024に参加、発表してきましたので、今日はその様子をご紹介したいと思います。
以前に私のブログでもご紹介した通り、サンディエゴは私が博士研究員時代を過ごした街で、4年ぶりの再訪ということで、心待ちにしながらこの日を迎えました。

AACR Annual Meetingとは

AACR Annual Meetingとは、AACR(アメリカ癌学会)が開催する1年に1回の学術講演会で、がんの基礎研究の中でも世界最大の集まりです。
世界中から参加者が集まり、その規模たるや、本当に圧巻です。
会場の広さも凄まじく、感覚的には高崎イオンくらいです。
この規模で開催出来る会場は全米でも数えるほどしかないそうで、開催都市もだいたい決まっており、サンディエゴでの開催は4年ぶりです。
部屋の数も多すぎて、もはや迷路のようですが、メイン会場はコンサート会場のような広さで、後ろの座席から見ると壇上の演者がまるで点のようです。

がんの基礎研究は「全部入り」の学問

がんの基礎研究は、数多くある基礎医学研究の中でも非常に研究が活発な分野です。
特に、世界に先駆けて日本で発売された、抗PD-1抗体薬に代表される免疫チェックポイント阻害薬の登場により、腫瘍免疫学、すなわち免疫とがんに関する研究が2010年代から急速に発展し、がん基礎研究の大きな柱になっています。
腫瘍免疫学だけでなく、がんの基礎研究は本当に幅広い生物学研究を網羅しており、ある種「全部入り」のような学問です。
それほど、がんという病気は多様性に富んでおり、診断も治療も一筋縄ではいかないことを示しているといえます。

私の研究テーマについて

私は大学院時代から一貫して、腫瘍免疫学に関する研究を行い、本学会で発表してきました。
今回は通算7回目の参加・発表となりました。
本学会では、メジャーシンポジウムなどの学会側による企画と、公募により集まった演題のうち内容・質の高いものを集めたミニシンポジウム、ミニシンポジウムに入らなかった公募演題を集めたポスターセッションが大半を占めています。
公募演題でミニシンポジウムに選ばれるのは簡単ではなく、私はいままで7回中1回しか選ばれたことがありません。
今回も、予想通りポスターセッションでの発表でした。

ポスターセッションは、発表内容をまとめたポスターを終日貼りっぱなしにした後に3分程度の発表を行う日本の学会のスタイルではなく、ポスターを貼る4時間の間、ずっとポスターの前に立って参加者とディスカッションするというスタイルです。
皆どんどん質問してくるので、4時間喋り続けることもあり大変ですが、自分より発表内容について詳しい方から教わることも多々あり、非常に有意義な時間です。
今回も、今後の研究の方針について多くの示唆を得ることが出来、大変有意義な発表となりました。

私の発表は「Activated phenotype of intraepithelial type 1 innate lymphoid cells is enriched in HPV-positive head and neck cancers」と題し、公共データベースから取得可能なデータを用いて、頭頸部癌における1型自然リンパ球という免疫細胞の特徴について解析し発表いたしました。
訪問診療とは関係ない内容ですが、非常勤で細々と続けている基礎研究の成果を形に出来たことを大変嬉しく感じました。

旧知との再会で決意を新たに

サンディエゴには博士研究員時代の仲間がいるので、久々に再会して親交を温めることが出来ました。
アメリカの研究室では、英語という言語やアメリカ特有の文化のおかげで、職場でも年齢差を感じることなく仲良くなることが出来ます。
研究室はボス以外自分より若い人ばかりだったので、若い人達に日々パワーをもらいながら楽しく過ごしていた日々を、久々に思い出すことが出来ました。

また本学会には日本中の研究者も参加しており、交流している各地の先生や大学生時代の友人と再会することが出来ました。
皆、各分野のトップランナーとして活躍している方ばかりで、自分も訪問診療や基礎研究だけに甘んじることなく、これからも色々なことに挑戦してゆこうと、決意を新たにした次第です。

最後に、1週間のお休みの間、日々の診療を支えてくれたあい駒形クリニックのスタッフ皆には、この場を借りて改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。
1週間、ありがとうございました!

そして、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 医師

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

院長ブログ

あい駒形クリニックの院長中村がブログをお届けします。

クリニックブログ

あい駒形クリニックのスタッフがブログをお届けします。

データで見る

あい友会の各種データをご覧いただけます。

実績紹介

あい駒形クリニックの診療実績をご紹介します。

メディア掲載

あい駒形クリニックのメディア掲載実績をご紹介します。

電話問い合わせ 問い合わせ