2024.04.10

あい駒形クリニックの訪問診療|摂食・嚥下のおはなし

皆さん、こんにちは。
冬は寒さで朝ランをサボりがちです、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
本日は、摂食・嚥下のお話です。

経口摂取は生物にとって大事な機能

経口摂取、すなわち口から食べたり飲んだりする行為は、ヒトだけでなく生物が生きてゆくための必須の機能です。
現代では、何らかの原因で経口摂取が難しくなった場合でも、末梢点滴や中心静脈栄養、胃瘻(いろう)などの方法によって、栄養や水分を補うことが出来るようになりました。
しかしながら「食べる」「飲む(呑む)」という行為は、単なる生存のための栄養・水分の摂取に留まらず、楽しみやコミュニケーションとしての側面もあるため、少量でも経口摂取を続けることが出来れば、生活の質の向上が期待出来ます。

嚥下とは

口から食べる・飲む動作のことを、嚥下(えんげ)と呼びます。
嚥下運動は、口から入った飲食物を咽頭、食道へと送り込むために、多くの筋肉や骨、軟骨が協調して行う非常に複雑な運動です。
このため、病気や低栄養に伴い筋力が低下してくると、嚥下に関わる様々な筋力も低下し、食べ物を適切に送り込むことが出来なくなります。
しかし、たとえ一時的に経口摂取が難しくなっても、リハビリを続け嚥下に関わる筋肉を鍛えることで、嚥下力が回復する場合もあります。
このため、嚥下機能を適切に評価し、状態に応じた食事形態を工夫したり、状態に応じたリハビリ計画を立案することが求められます。

嚥下機能の評価方法

嚥下機能の評価には様々な方法があります。
昔から用いられてきた方法として、バリウムを飲む様子を、X線透視装置を用いて観察する嚥下造影が挙げられます。
口に入ったバリウムが咽頭を通って食道へ入る様子をリアルタイムで観察することが出来るため非常に重宝しますが、X線透視設備が必要なこと、放射線被曝があることが欠点として挙げられます。

一方で、近年多く用いられている方法が、嚥下内視鏡検査です。
嚥下内視鏡検査では、鼻から細い内視鏡を挿入し、飲食物が咽頭を通過する様子をリアルタイムで観察することが出来ます。
X線装置を用いないので被爆もなく、ベッドサイドで行えるため訪問診療とも相性が良い検査です。
従来は耳鼻科に嚥下機能の評価依頼が来ることが多かったのですが、近年ではリハビリ科や内科、歯科など他診療科の医師も検査を行っています。

嚥下内視鏡

当クリニックでは嚥下内視鏡検査に取り組んでいます

当クリニック、そしてあい友会では、私が入職する前から嚥下内視鏡検査に取り組んでいます。
訪問診療の対象となる患者さん、すなわち診療所や病院へ受診することが困難な患者さんでは、全身の筋力低下がしばしば認められるため、それに伴って嚥下障害も併発します。
また、急性期疾患で入院中に経口摂取が困難となり、絶食のまま退院となったため、その後体力が回復した後も経口摂取しないまま経過している患者さんも経験します。
こういったケースでも、嚥下内視鏡検査をベッドサイドで行い、嚥下の状態を評価することで、経口摂取を再開出来るだけでなく、適切な食事形態を立案したり、リハビリの内容を提案することが可能となります。

当クリニックが採用しているシステムでは、内視鏡の映像をリアルタイムでiPadに映すことで、医師だけでなく他のスタッフや御本人・ご家族も嚥下の様子を観察することが出来るうえ、動画として映像を記録することが出来ます。
当クリニックのこうした取り組みにより、病院へ受診することが出来ず絶食状態だった患者さんが経口摂取を再開することが出来たり、より適切な食事形態を選択することが出来たりと、手応えを感じているところです。

耳鼻咽喉科専門医である私が入職したことで、当クリニックでの嚥下内視鏡検査の取り組みを、今後さらに加速化してゆきたいと考えています。
当クリニックで定期的に往診している患者さんだけでなく、他院の訪問診療や通院をご利用されている患者さんにおいても、ご自宅や施設へお伺いして検査を行っています。
どうぞお気軽に、お問い合わせ頂ければ幸いです。

あい駒形クリニックの訪問診療解説シリーズ、今後も続けてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 医師

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

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