2023.10.24

耳鼻科往診|めまいの診察のおはなし

皆さん、こんにちは。

赤城山の周りを100km走ってきました、あい駒形クリニックの高橋秀行です。

本シリーズでは、これまで何度かご紹介している当院の「耳鼻科往診」について、詳しくご説明してゆきたいと思います。

今日は、めまいについてお話したいと思います。

めまいは何科にかかる?

さて、皆さんはめまいがした時に何科にかかるのが正解だと思いますか?

この質問は患者さんから聞かれることもしばしばありますが、明確な答えはないというが正解となります。

何故かというと、めまいは様々な症状と病態を含む、非常にふわっとした概念であるからです。

つまり、めまいを来している原因によって、受診すべき診療科が異なってくるのです。

とは言っても、何科にかかれば良いのかを患者さんが自分で判断するのは難しいですし、医師でも何科を紹介すれば良いのか判断が難しいこともあります。

そういった背景もあり、めまいがしたら耳鼻科にかかるのが正解、と考えられることが多いかと思います。

実際、めまい診療は耳鼻科診療の大きな柱の一つであり、日本めまい平衡医学会という学会もありますので、めまいに対し最も専門性を持って診療しているのは耳鼻科なのかと思います。

めまいの診察の実際

めまいの問診

前述のようにめまいというのは非常に幅広い概念です。

自覚症状も「ぐるぐる」「ふわふわ」「横揺れ」「グラグラ」「クラっとする」といった、いかにもめまいっぽい症状から、「なんとなくおかしい」「スッキリしない」「気持ち悪い」といった、捉えどころのない症状を以ってめまいがすると訴える方もいます。

このように多彩な訴えをきちんと問診してゆくことで、内耳が原因のめまいなのか、他に原因があるのか、鑑別診断を考えてゆきます。

さらに、難聴や耳鳴り、手足の麻痺、嘔気嘔吐など、随伴症状の有無もめまいの原因の鑑別に重要です。

眼振所見で内耳の異常を見極める

問診である程度めまいの原因や種類を絞り込んだところで、「眼振」という眼球の揺れや回転が生じているかを確認します。

眼振は注視抑制といって1点を見つめてしまうと抑制されてしまうので、フレンツェル眼鏡や赤外線カメラ付き眼鏡を用いて焦点が定まらない状態で眼球の動きを観察します。

内耳が原因のめまいの場合、眼振の向きや体位変換に伴う変化、持続性等、様々な情報を総合的に解釈することで、疾患だけでなく左右どちらの内耳の異常かを見極めることも可能です。

眼振所見を認めた場合、聴力検査を追加することでより正確に診断することが出来ます。

ただ、眼振所見を認めるケースは実はあまり多くなく、めまいで耳鼻科を受診される患者さんの大半は、内耳の異常と明確に診断することが困難です。

我々耳鼻科医はめまいの専門家であると同時に耳の専門家でもありますが、実際は耳が原因ではないめまいを日々診療しているのです。

ただ「めまい難民」という言葉もあるくらい、なかなかめまいの原因がわからず病院を転々とされるケースもありますので、我々耳鼻科医がめまい診療の最後の砦であるという意識を持って、めまいの患者さんを日々診療しております。

内耳以外に考えられる原因とは?

では、内耳の異常がない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?

多いのは自律神経の乱れによるもの、内耳性めまいが回復した後に残るスッキリしない感じ、肩こりに伴うもの、高齢者の高血圧・降圧過剰によるもの等です。

しかし、こういったケースは明確な異常所見を認めないことが多く問診による推定となるため、医師の経験値が問われるところです。

比較的稀なケースとしては、不整脈、脳梗塞や脳出血、甲状腺機能異常、電解質異常等に伴うものが挙げられます。

めまいで救急搬送となった後、救急外来で診察中に呼吸停止となり、頭部CTで脳出血を認めた例、発作的な強いめまいで入退院を繰り返し、最終的に不整脈と診断されペースメーカー埋め込みとなった例、めまいを訴え救急外来に受診し肝性昏睡と診断された例などが、個人的な経験の中では今でも印象に残っています。

しかし、こういったケースは比較的稀であり、めまい=重大な病気のサインであることは多くないので、ご安心頂ければと思います。

患者さんへの耳鼻科往診が可能です(事前予約制)

当院でめまいのご相談を頂くことはあまりありませんが、めまいは往診の強みを活かせる疾患の一つだと思います。

特に強いめまいの場合は病院に行きたくても行けず、やっと落ち着いた頃に病院に行ったものの異常なしと言われて帰宅、なんてエピソードは良く耳にします。

当院の耳鼻科往診は事前予約制ですので、めまいの患者さんの元に緊急で往診出来るとは限りませんが、今後耳鼻科往診を通じてめまい診療にも力を入れてゆきたいと思います。

耳鼻科往診の解説シリーズ、今後も続けてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 医師

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

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