2023.08.01

耳鼻科医師が訪問診療を志したワケ① 〜耳鼻咽喉科との出会い〜

皆さん、こんにちは。

今日も元気に訪問診療しています、あい駒形クリニック常勤医の高橋秀行です。

今回は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科医である私があい友会と出会い、訪問診療に携わるまでのお話をしたいと思います。

ちょっと長くなりますので、シリーズ連載としてお届けしたいと思います。

耳鼻咽喉科医を志したワケ

耳鼻咽喉科の魅力

医師は初期研修医として様々な診療科を幅広く勉強した後に、後期研修医として専門を決めて取り組んでゆくのが一般的です。

私も内科を中心に研修した後に、後期研修の診療科として耳鼻咽喉科を選択しましたが、数ある診療科の中でも決して人気の高くない耳鼻科を選んだのにはいくつか理由がありました。

・複数の臓器を扱い、扱う疾患の種類も局所疾患から全身疾患まで多岐にわたる

・内科的治療、外科的治療、両方を経験出来る

・小さなお子様からお年寄りまで老若男女を扱う

という感じで、狭い分野に思えて、実は幅広く学ぶことが出来るところに魅力を感じたのでした。

実は幅広い耳鼻咽喉科

しかし、いざ耳鼻科医として研修を開始すると、扱う疾患の多さ、習得すべき手技や手術の多さに面食らう医師は少なくないのではないかと思います。

私も最初の頃は、あまりに覚えることが多く毎日教科書とにらめっこでした。

また、日々の診療のために取得すべき手技が多いのも耳鼻咽喉科の特徴です。

耳鼻科というと頭に付ける輪っか(額帯鏡)を思い浮かべる方が多いと思いますが、額帯鏡で診たい部位に光を合わせるのは意外に難しいのです。

また、耳・鼻・のどの診察、頸部の触診、内視鏡、顕微鏡、超音波検査など、診察する部位や使用する医療機器の種類も多いので、一朝一夕とはゆきません。

鼻の中を吸引する、それだけでも患者さんが痛みを感じないように繊細なタッチで行うのは熟練を要します。

幸い、私が研修を開始した大学病院では、一定のレベルの診療が行えるようになるまでは必ず指導医の先生がフォローしてくださったので、患者さんに大きなご迷惑をおかけすることなくスキルアップすることが出来ました。

おかげで、毎日が未知との遭遇でしたが、大学病院、次に市中病院と、順調に後期研修を進めてゆくことが出来ました。

そうして4年の歳月が過ぎ専門医を取得する頃には、まだまだ見たことない病気や出来ない手術があるにせよ、耳鼻咽喉科・頭頸部外科学を一通り俯瞰することが出来るようになりました。

同時に、駆け出しの頃と比べると新しい事との出会いが減ってきたためか、日々忙しく仕事をしていても物足りなさを感じるようになりました。

「何か新しいことに身を委ねて思い切り勉強したいなぁ・・」

そんなことを、いつのまにか漠然と考えるようになりました。

そんな中、ある日突然、チャンスは訪れたのです。

耳鼻咽喉科医から基礎研究の道へ

私が所属していた医局では、新しい教授が就任されたばかりでした。

当時、前橋市内の病院で勤務していた私ですが、ある日教授から呼び出しを受けたのです。

大学病院へ馳せ参じた私は、初対面の教授に一体何を言われるのだろうと、とても緊張していたのを今でも覚えています。

まだリフォームしたばかりの、小綺麗に整理整頓された教授室の応接ブースは、私の緊張を倍増させました。

椅子を勧められ、緊張した面持ちで着席した私に、教授はこう切り出しました。

「高橋君、君は専門医を取得した後、何がしたいんや?大学院、入ってみんか?」

大学院。基礎研究。

それまで自分の思い描くキャリアパスに、全く存在しなかったキーワードでした。

まだ赴任して間もなかった教授は、新天地で自身の研究室を立ち上げるべく大学院生を探されており、ちょうど後期研修を終えるタイミングだった私に白羽の矢が立ったのでした。

当時の私にとって基礎研究というと、学生時代にネズミを使った実習で噛まれそうになったり、大事なサンプルをこぼして班員からブーイングだったりと、あまり良い想い出がなく、出来れば避けて通りたいと思っていたので、反射的にお断りしたい気分になりました。

しかし同時に、こうも考えたのです。

「新しい学びを探している自分にタイミング良く降って湧いたこのチャンス、これを無駄にするのはもったいない。やらずに後悔するより、やって後悔するほうが良いかもしれない。」

そこで私は「行きます、大学院行きます。基礎研究、やってみたいです。」と、半ば勢いでお返事してしまいました。

この決断が、その後の私の医師人生だけでなく、家族の人生をも劇的に変貌させることになるとは、この時は全く気付いていなかったのです…。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました☆

耳鼻科医師が訪問診療を志したワケ② 〜基礎研究が私を変えた〜」に続きます。

乞うご期待!

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 医師

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

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