皆さん、こんにちは。
禁酒していましたが夏はやっぱりビールが最高、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
本日は筋萎縮性側索硬化症(ALS) についてお話ししたいと思います。
ALSとはどんな病気?
ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)は、全身の筋肉を動かす神経(運動ニューロン)が徐々に障害される病気です。
進行とともに、手足の動きが悪くなり、やがて話す・飲み込む・呼吸するといった機能も影響を受けます。
発症のピークは50〜70歳代とされ、日本では年間約1,000人が新たにALSと診断されています。
また、現時点でALSを根本的に治す治療法はなく、進行を少し遅らせる薬や対症療法が中心です。
有名な例として、物理学者のスティーブン・ホーキング博士が長年ALSとともに生きたことをご存知の方も多いでしょう。
ALSと在宅医療のかかわり
ALSは進行により、日常生活における様々なことに介助が必要になります。
しかし、適切なサポートを受けることで、自宅で穏やかに暮らすことも可能です。
在宅医療では、次のような支援が重要になります。
- 呼吸管理(非侵襲的陽圧換気:NPPV、または気管切開による人工呼吸器)
- 嚥下障害への対応(胃ろうの造設、栄養管理)
- コミュニケーション手段の確保(意思伝達装置、文字盤、視線入力装置など)
- 疼痛や痰のコントロール
- ご家族の介護支援・心理的サポート
訪問診療と訪問看護、リハビリ、行政サービス等が連携することで、こうした支援を提供することが可能となります。
ALSの治療とケア
ALSの治療は、病気そのものを治すことはできませんが、症状を緩和し生活の質(QOL)を保つことが目標です。
- 薬物療法:リルゾールやエダラボンなど、ALSの進行抑制が期待できる薬があります。
- 呼吸補助:自力での呼吸が難しくなった場合、NPPV(マスク型人工呼吸器)の使用や気管切開・喉頭気管分離術+人工呼吸器の使用などを検討します。
- 栄養管理:嚥下が難しくなってきた場合、胃ろうの造設が選択肢となります。
- リハビリ:関節が固まらないように、またできるだけ体を動かすために理学療法士によるリハビリテーション理学療法が行われます。
ALSとACP
ALSは進行性の病気であり、将来的に呼吸や嚥下など生命に直結する機能が障害として引き起こされます。
そのため、どの時点でどのような医療措置を望むのかを早めに話し合っておくことが非常に重要です。
- 人工呼吸器を装着するかどうか
- 胃ろうを造設するかどうか
- 最期を迎える場所(自宅か病院か)
これらはACP(アドバンス・ケア・プランニング)の核心となるテーマです。
ご本人の思いを尊重し、医療者・ご家族が同じ方向を向けるよう、早い段階で繰り返し話し合うことが大切です。

ALS患者さんへの当クリニックの取り組み
あい駒形クリニックの訪問診療では、ALSの患者さんやご家族と共に、今後の生活をどう支えていくかを考えています。
- 呼吸器や胃ろうの管理
- 症状に応じた薬の調整
- ご家族へのアドバイス
- 緊急時の対応策
これらを含め、在宅でもより安心して療養できる医療体制の整備を目指しています。
また、人工呼吸器を装着している患者さんでは、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)による難聴がQOLを低下させることがあります。
当クリニックには耳鼻科医が在籍しているため、必要に応じて鼓膜穿刺を行うなどの処置も可能です。
これからもALSの患者さんの声を大切にしながら、在宅での暮らしを切れ目なく支える医療を提供できるようこれからも取り組んでいきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




