皆さん、こんにちは。
アメリカ大好き、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
先日、2025年4月25〜30日に米国Chicagoで開催されたAACR Annual Meeting 2025に、昨年に引き続き参加・発表してきましたので、今年は2回に分けてご紹介したいと思います。
今回は、その①です。
AACR Annual Meetingとは
AACR Annual Meetingとは、AACR(アメリカ癌学会)が開催する1年に1回の学術講演会で、がんの基礎研究の中でも世界最大の集まりです。
世界中から数万人規模の参加者が集まるため、その規模たるや圧巻です。

会場の広さも凄まじく、今年は特に広くて、イオンより大きかったです。
この規模で開催出来る会場は全米でも数えるほどしかないそうで、開催都市もだいたい決まっています。
昨年はサンディエゴ、今年はシカゴ、来年はまたサンディエゴ、2年後はオーランド、3年後はニューオーリンズですが、どこも過去に開催されたことのある都市ばかりです。
がんの克服は世界中の課題
日本人の2人に1人はがんになると言われる時代に生きる我々にとって、がんは他人事ではなく、がんの克服は世界中で重要な課題です。
このため、がんの基礎研究は世界各国で重要視されており、非常に盛んに研究が行われています。
がんの基礎研究は本当に幅広い生物学研究を網羅しており、ある種「全部入り」のような学問です。
AACR Annual Meetingは、そのような非常に幅広い学問の最先端を知るために、世界中の研究者にとって非常に価値のある場となっています。
これは私にとっても同様で、今回通算8回目の参加・発表となりました。
AACR Annual Meeting 2025で感じたトレンドの深化
今回は、パンデミックが明けて4年ぶりに参加した昨年に比べると、体感的には目新しいテーマは少なかったように思います。
革新的なブレイクスルーを目の当たりにするというよりは、ここ数年で新しく出てきたトレンドの深化を感じた年でした。
特に、cancer ecosystem、ecDNA、AI-supported integrated analysis、next generation organoid、microbiomeなど、過去数年でトレンドになってきたテーマが主要なテーマとして定着してきたのを感じました。
一方で、single cell analysisやspatial transcriptome/proteomeなど、5年前は目新しかった技術がすっかりありふれたものになったと感じました。
しかし、こうした新技術は、日本では1サンプルあたり100万円程度かかってしまうためまだまだ一般的とは言えず、世界に取り残されていると感じました。
もちろん日本でも、中央の研究施設ではこうした技術は多く取り入れられていますが、外注で行わざるを得ない地方の研究者、特に臨床医には厳しい時代になったと年々感じています。
技術大国ニッポンは過去の話、日本の研究を取り巻く環境は非常に厳しい状況です。
しかし医学において、欧米人とアジア人は大きく異なるため、アジア人に基づいた医学研究は欠かせません。
お隣の中国がアジアにおける研究を牽引してくれているのがせめてもの救いですが、がん基礎研究における日本のプレゼンスを高める努力を怠ってはいけないと、改めて実感した次第です。
発表演題「CD4+CD103+ tissue-resident memory T cells correlate with unfavorable prognosis in patients with head and neck cancer」
AACR Annual Meetingの内容は、学会側が企画するプレナリーセッションやメジャーシンポジウムなどの企画、公募により集まった演題のうち内容・質の高いものを集めたミニシンポジウム、ミニシンポジウムに入らなかった公募演題を集めたポスターセッションに大きく別れます。
公募演題でミニシンポジウムに選ばれるのは簡単ではなく、私は8回中1回しか選ばれたことがありませんので、今回も予想通りポスターセッションでの発表でした。
ポスターセッションは、貼りっぱなしにした後に3分程度の発表を行う日本の学会のスタイルではなく、ポスターを貼る3時間の間、ずっとポスターの前に立って参加者とディスカッションするというスタイルです。
皆どんどん質問してくるので大変ですが、自分より発表内容について詳しい方から教わることも多々あり、非常に有意義な時間です。
今回も、今後の研究の方針について多くの示唆を得ることが出来、大変有意義な発表となりました。

私の発表は「CD4+CD103+ tissue-resident memory T cells correlate with unfavorable prognosis in patients with head and neck cancer」と題し、頭頸部癌患者におけるCD4陽性tissue-resident memory T細胞が予後不良因子として有用であることを明らかにし、発表しました。
訪問診療とは関係ない内容ですが、非常勤で細々と続けている基礎研究の成果を形に出来たことを大変嬉しく感じました。
さて、長くなってきましたので、今回はここまでにします。
次回は、シカゴの街やシカゴでの体験についてご紹介したいと思いますので、ご期待ください!
そして、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!




