皆さん、こんにちは。
今年の学会参加予定が徐々に決まりつつあります、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
2025年は、私にとって学会発表と学びの密度が非常に高い一年でした。
耳鼻咽喉科領域の基礎研究、がん基礎研究、在宅医療、緩和ケア、褥瘡、そして「死の臨床」まで、専門分野や立場の異なる学会に参加し、発表し、議論する機会に恵まれました。
2025年の学会発表記事の振り返り
この総集編では、2025年4月から年末にかけて秀ブログで紹介してきた学会発表関連の記事をまとめて振り返り、「その時、何を考え、何を学び、今後に何を持ち帰ったのか」を整理してみたいと思います。
4月|日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会(秋田)
4月は秋田で開催された第5回日本耳鼻咽頭科免疫アレルギー感染症学会総会・学術講演会からスタートしました。
基礎研究寄りの演題が多い学会で、臨床医として参加するたびに毎回身が引き締まります。
この学会では、「頭頸部癌におけるtissue-resident memory T cellのバイオマーカーとしての可能性」と題し、群馬大学研究員として行った研究成果について発表を行いました。
基礎研究の視点から「この知見をどう臨床につなげられるのか」という問いを突きつけられる時間でもあり、質疑応答を通じて、自分の研究の立ち位置を改めて確認する機会になりました。
学会報告|第5回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会総会・学術講演会 ▶
4月|AACR Annual Meeting 2025(シカゴ)
4月はアメリカ・シカゴで開催された AACR Annual Meeting 2025にも参加しました。
世界最大級のがん基礎研究の学会で、会場の規模・熱量ともに圧倒的です。
私は「CD4+CD103+ tissue-resident memory T cells correlate with unfavorable prognosis in patients with head and neck cancer」と題し、頭頸部癌患者におけるCD4陽性tissue-resident memory T細胞が予後不良因子として有用であることを明らかにし、発表しました。
世界中の研究者と直接議論する中で、日本ではまだ十分に普及していない解析技術や研究資源の差も痛感しましたが、同時に「臨床と結びついた研究」という点では、日本発の研究にも十分な価値があると実感しました。
学会後半は街歩きや文化的体験も含め、研究者として、医師として、少し視野が広がる時間だったように思います。
学会報告|AACR Annual Meeting 2025 その① ▶
学会報告|AACR Annual Meeting 2025 その② ▶
6月|日本在宅医療連合学会大会(長崎)
6月は一転して在宅医療の学会です。
第7回日本在宅医療連合学会大会では、「在宅医療の未来を語ろう。」というテーマのもと、2050年を見据えた地域医療の議論が多く行われていました。
当クリニックからは複数の演題を発表し、私は「あい駒形クリニックにおける耳鼻科往診の取り組み」と題し、2023年7月より行っている当クリニックの耳鼻科往診について発表いたしました。
在宅医療は「特別な医療」ではなく、これからの医療の中心になっていくものだと、改めて実感した学会でした。
7月|日本緩和医療学会学術大会(福岡)
7月は福岡で開催された第30回日本緩和医療学会学術大会。
テーマは「緩和医療-生老病死を慈しむ」。
緩和医療はがんをはじめ、様々な疾患を持つ人々によって「生老病死」すべての時期に必要とされていることから、人生のあらゆる段階にある個人のウェルビーイングと尊厳を促進することを目指した大会でした。
私は「在宅医療を継続しながら緩和照射を行い良好な疼痛コントロールを得た腎癌多発骨転移の1例」と題した症例報告を行いました。
在宅医療で提供出来る選択肢は限られていますが、病診連携をシームレスに行うことで、よりよい緩和ケアを提供出来ることを、症例を通じて勉強させて頂きました。
「正解が一つではない医療」にどう向き合うか。
この学会は毎年、その問いを私に突きつけてきます。
9月|日本褥瘡学会学術集会(横浜)
9月は横浜で開催された第27回日本褥瘡学会学術集会。
医師だけでなく、看護師・リハ職・栄養士など、多職種が主役になる学会で、現場のリアルな課題と工夫が数多く共有されていました。
今回当クリニックからは「体圧分散用具の迅速な導入が出来ず治療に難渋した若年褥瘡患者の1例」と題し、創傷ケアチームに所属する看護師が発表を行いました。
当クリニックの患者さんのほとんどは40歳以上であり若年者の褥瘡に対応することは非常に少ないため、今回のケースで学んだことを今後に活かしてゆきたいと思います。
超高齢社会の中で、褥瘡は「避けて通れない問題」です。
医療者として、組織として、何ができるのかを改めて考えさせられました。
11月|日本死の臨床研究会年次大会(盛岡)
ラストは盛岡で開催された第48回 日本死の臨床研究会年次大会。
医学・看護・哲学・倫理が交差する、独特の空気を持つ学会です。
在宅看取りや鎮静の判断など、日々の臨床で避けられないテーマについて、答えを出すというより「考え続ける」ための場だと感じました。
この学会に参加すると、医師である前に、一人の人間として「死にどう向き合うか」を問われます。
今回の学会はあらためて自分のケアのあり方、ケアリングマインドの持ち方を見つめ直す、貴重な機会となりました。
一年を通して思うこと
2025年を振り返ると、基礎研究・臨床・在宅医療・緩和ケアを行き来しながら、自分の立ち位置を何度も確認した一年でした。
学会は「成果を発表する場」であると同時に、自分の考えを揺さぶられる場でもあります。
これからも、日々の診療で感じた疑問を研究に持ち込み、研究で得た知見を再び臨床に戻していく、そんな循環を大切にしていきたいと思います。
この総集編が、学会参加や発表を考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!



