皆さん、こんにちは。
最近、庭のみかんの木に初めて実がつきました、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
本日は、副鼻腔炎のお話です。
副鼻腔炎(蓄膿)とは
副鼻腔炎は、蓄膿(ちくのう)として広く知られている病気です。
読んで字の如く、副鼻腔に炎症を起こした状態を指します。
幅広い病態を一括りに副鼻腔炎と呼んでいますが、その原因は様々で、原因によって治療方法も異なります。

鼻腔とは、鼻腔(びくう)のまわりに存在する空洞です。
頬の中にある上顎洞、眉間の中にある篩骨洞、おでこの中にある前頭洞、頭の中心近くにある蝶形骨洞に分類され、それぞれ鼻とつながっています。
鼻から感染が拡がって炎症を起こす場合や、免疫反応によって炎症を起こす場合、上顎歯の炎症が拡がる場合、空洞内に真菌(カビ)が繁殖する場合など、副鼻腔炎の原因は様々です。
例えば、鼻風邪をひいた際に、最初は透明な鼻水がタラタラ垂れていたのが、次第に緑色の鼻水がたくさん出るようになった・・・こんな経験のある方は多いと思います。
こういった風邪症状に続いて起こる急性副鼻腔炎は非常にありふれた病気で、多くの場合は鼻をしっかりかんでいれば自然に治るため、特別な治療は必要ありません。
ただ、高熱や顔面の痛みを伴い抗菌薬の投与が必要になる場合もありますので、このような場合は耳鼻科への受診をおすすめします。
慢性副鼻腔炎とは
このような急性副鼻腔炎の多くはウイルスや細菌の感染に伴って起こるものがほとんどですが、慢性副鼻腔炎の場合は大きく異なります。
慢性副鼻腔炎とは、その名の通り副鼻腔に慢性的な炎症が生じた状態を指し、慢性的な鼻詰まり、嗅覚の低下、鼻汁・後鼻漏といった症状を引き起こします。
急性副鼻腔炎のように細菌などの感染が原因の場合もありますが、他にも様々なケースがあります。
代表的なのは、免疫反応によって引き起こされるもので、日本においては好酸球性副鼻腔炎という概念が提唱されており、指定難病になっています。
免疫反応が関与する慢性副鼻腔炎の場合、タイプ1・タイプ2・タイプ3といった様々な免疫反応が複雑に絡み合うことで、副鼻腔の粘膜に炎症を起こしたり、鼻茸と呼ばれるポリープを形成します。
特にタイプ2と呼ばれる炎症が主に関わっていることが分かっており、タイプ2炎症を抑制するデュピルマブという薬剤が臨床でも用いられています。
虫歯や真菌による副鼻腔炎
また、上顎歯の虫歯から上顎洞に炎症が拡がっているケースも比較的多く見受けられます。
こういったケースでは、耳鼻科よりも歯科での治療が重要となります。
歯科治療で歯根の炎症が治りきらない場合は、耳鼻科で投薬や手術を行う場合もあります。
また、ときどき見受けられるのが、副鼻腔に真菌(カビ)が繁殖するケースです。
副鼻腔は鼻腔とつながった空間で、湿気のあるジメジメした空洞です。
このため、湿気を好む真菌の絶好の繁殖の場です。
繁殖した真菌の量が多いと、鼻をかんだ時に黒いカスが出てくることもありますが、全く症状を来さず人間ドック等で偶然発見されるケースもあります。
稀に眼や脳に入り込んで重症となるケースもあるため、発見された時点で手術の検討が必要となります。
副鼻腔炎に関連する論文を2報発表しました
群馬大学の博士研究員としても活動している私ですが、免疫・アレルギー関連の研究にも取り組んでおり、副鼻腔に関連した論文を最近2報発表しましたので、この場を借りてご紹介させて頂きます。

ADGRB3-High and POSTN-High Fibroblasts Are Markers of Endotypic Traits in Chronic Rhinosinusitis
副鼻腔炎、特に鼻茸を伴う副鼻腔炎の場合、コラーゲン等の細胞外マトリックスを産生している線維芽細胞が、その病態に深く関与していると言われています。
本研究では、線維芽細胞の多様性に着目し、副鼻腔炎の形成に関わる免疫系に線維芽細胞の特定のタイプが関係していることを明らかにしました。
Comprehensive profiling of the heterogeneity of molecular endotypic traits in chronic rhinosinusitis
ポリープを形成する副鼻腔炎では、タイプ2と呼ばれる免疫反応が主に関与していることが知られています。
本研究では、タイプ1、制御性T細胞といったタイプ2以外の免疫細胞の関与やT細胞メモリーの形成、エフェクター分子や免疫チェックポイント分子の発現亢進などが、鼻ポリープにおいて認められることを明らかにしました。
近年、慢性副鼻腔炎の研究が進み、病態に応じた治療選択が行えるようになったことで、以前より治療成績も向上していますが、難治性の副鼻腔炎の患者さんは依然多く存在します。
さらなる病態の理解や新規治療の開発を目指して、今後も研究に取り組んでゆきたいと思います。
耳鼻科往診を希望される方はお気軽にご相談ください
当クリニックの耳鼻科往診で、副鼻腔炎の患者さんに対して専門的な治療を行った経験はまだ多くありませんが、患者さんのニーズに応えるべく、今後も耳鼻科往診の活動を継続してゆきたいと思います。
みみ・はな・のど・首の症状で専門医の往診をご希望される方は、お気軽に当クリニックまでご相談頂ければ幸いです。
耳鼻科往診の解説シリーズ、今後も続けてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!




