2024.12.10

あい駒形クリニックの訪問診療|血液検査のお話

皆さん、こんにちは。
先日久々にハーフマラソンを走りました、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
本日は、血液検査のお話です。

血液検査と訪問診療

訪問診療では検査面で様々な制約があります。
病院では当たり前に出来るレントゲンやCT・MRI検査等は、訪問診療では行うことが出来ません。
当クリニックでは幸い簡易的なポータブルレントゲンは施行できますが、常に持ち歩いているわけではないため緊急で行うことは出来ず、また撮影できる条件も限られているため、骨折などを正確に評価するのは困難です。
超音波検査も施行できますが、やはり緊急では行えず、機器も持ち運び用の簡易的なものであるため、画質面で病院とは大きな隔たりがあります。

こうした制約の中で、血液検査は我々訪問診療医が非常に頼りにしている検査です。
まず何より、採血を行うための道具が非常にシンプルであるため、各チームが常に持ち歩くことが出来て、往診先で必要になった場合は24時間いつでも施行出来るというメリットがあります。
また、採取した血液を分析するのは専門業者であるため、レントゲンや超音波検査とは違って病院と変わらない品質で検査を行うことが出来るのも、大きなメリットです。

あい駒形クリニックの血液検査

当クリニックで行っている血液検査には、状態変化の有無に関わらず定期的に行う定期採血、初診の患者さんに行う初回採血、状態に変化があった時などに臨時で行う採血などがあります。

定期採血では、患者さんの多くがご高齢であることを踏まえて、一般的な項目について年2回程度の検査を行い、病状に変化がないか、その他の健康状態に新たな異常は生じていないか等を確認しています。
糖尿病や心不全、腎不全などの患者さんで頻回な血液検査が必要な場合は、もう少し多い頻度で定期的な検査を行う場合もあります。

初回採血では、定期採血で行う一般的な項目に加えて、感染症や必要に応じて糖尿病、心不全等のスクリーニング検査なども行っています。

臨時の採血は、発熱があるけれど熱の原因がはっきりしない場合、食欲低下が続いている場合、浮腫(むくみ)のある場合、血色が悪く貧血が疑われる場合などに、問診や身体所見ではっきりしない原因を探る方法として、訪問診療の心強い味方となっています。

採血の様子です。主に看護師が担当します。

血液検査の種類

このように血液検査は我々訪問診療医が行うことの出来る数少ない検査手段ですが、ルーチン検査と呼ばれるセット化された項目から得られる情報の多さを考えると、血液検査は人類が長い年月をかけて築き上げた叡智の結晶と言っても過言ではないと思います。
ここからはルーチン検査の2本柱である血算・生化学検査についてお話したいと思います。

血算とは

血算(全血球計算)は、血液中に浮遊する細胞成分を調べる検査です。
免疫力に関わる白血球、貧血の指標となる赤血球、止血に関わる血小板などの数を数える他、白血球の内訳(好中球、リンパ球など)を調べたり、赤血球の大きさや色素の量を調べたりすることが出来ます。
これにより、感染症の重症度や原因を推測したり、貧血のタイプを把握して原因を推測したり、血小板数により全身状態を把握したりと、非常に多くの情報を得ることが出来ます。

生化学検査とは

生化学的検査では、血清と呼ばれる血液の液体成分に含まれる様々な物質の濃度を測定することで、極めて多くの情報を得ることが出来ます。
代表的な情報としては、栄養状態、腎機能、肝機能、胆道異常、電解質、細胞障害、脂質などが挙げられます。

これらはいずれも単一の項目ではなく、すべて複数の項目から成り立っています。
ここが血液検査の結果解釈が時に難しく、また面白い部分でもあります。
複数の項目の組み合わせで病状を詳しく知ることが出来る一方で、相反する結果が出て解釈に悩む場合もあります。
例えば、肝機能検査のAST、ALTという項目がありますが、これらの値そのものではなく、どちらが高いのかによっても肝細胞障害の程度やアルコール性肝障害の可能性があるのかを推測することが出来ます。

血液検査は内科学の醍醐味のひとつ

ひとつひとつの項目を評価するのは簡単ですが、複数の項目を組み合わせて解釈し、さらにそれを他の情報と統合して全身の状態を推測するには、医師として多くの知識と経験を要します。
血液検査のこうした一面は内科学の醍醐味とも言える部分で、非常に勉強し甲斐があります。
これからも、血液検査を正しく解釈し適切な治療に繋げるために、日々勉強を続けてゆきたいと思います。

あい駒形クリニックの訪問診療解説シリーズ、今後も続けてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

<参考文献>
本田 孝行. 検査値を読むトレーニング: ルーチン検査でここまでわかる. 医学書院, 2019.

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 副院長

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

院長ブログ

あい駒形クリニックの院長中村がブログをお届けします。

クリニックブログ

あい駒形クリニックのスタッフがブログをお届けします。

データで見る

あい友会の各種データをご覧いただけます。

実績紹介

あい駒形クリニックの診療実績をご紹介します。

メディア掲載

あい駒形クリニックのメディア掲載実績をご紹介します。

電話問い合わせ 問い合わせ