2024.10.08

あい駒形クリニックの訪問診療|パーキンソン病のお話

皆さん、こんにちは。
土曜日の仕事上がりにラーメンを食べるのがマイブーム、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
本日は、パーキンソン病のお話です。

パーキンソン病とは

少子高齢化が進む我が国では、高齢者の増加によって今後患者数が急増すると言われている疾患が多く存在しますが、パーキンソン病もその一つです。
むしろ我が国に留まらず、世界的にも患者数が急増しており、2040年には1420万人と現在の倍近い患者数になると推定されおり、「パーキンソン病パンデミック」と呼ばれています。

そうした状況もあってか、当クリニックで訪問診療を行っている患者さんの中にも、パーキンソン病の方が多くいらっしゃいます。
では、パーキンソン病はどのような病気で、どうして訪問診療の対象となるのでしょうか。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病は神経変性疾患と呼ばれる病気の一つです。
神経変性疾患では、何らかの原因により脳や脊髄の神経細胞が徐々に障害され、認知機能の低下や運動障害を生じます。
パーキンソン病では、脳のドパミン神経細胞が障害されることで、徐々に運動機能に関する症状(運動症状、いわゆるパーキンソニズム)が生じます。
原因ははっきり分かっていませんが、レヴィ小体と呼ばれるタンパク質の凝集が細胞内に生じることが分かっており、関連性が示唆されています。

代表的な運動症状としては、安静時の振戦、筋強直(筋固縮)、動作緩慢・無動といった症状が挙げられます。
自覚症状として、安静にしている時に片手に生じる手のふるえ、動作が遅くなり時間がかかる、筋肉がこわばり動かしにくい、姿勢が前かがみになりバランスを崩しやすい、シャツのボタンをかけるような細かい動作が出来ない、等の症状が現れます。
運動症状が進行すると、歩くのが難しくなる、顔面の筋肉が動かないため表情が乏しくなる、飲み込むことが困難になる、発声が困難になる、等の症状をきたし、徐々に日常生活を送ることに支障をきたすようになります。

また、運動を司る神経以外にも、末梢神経や自律神経にレヴィ小体が蓄積することで、様々な症状を生じます。
頻度が多くよく知られているものでは嗅覚の低下が挙げられます。
耳鼻科に嗅覚の低下を訴えて受診される患者さんは多くいらっしゃいますが、パーキンソン病の患者さんの場合、嗅覚の低下を自覚されていないケースも多いとされています。
他には、睡眠の障害や排尿の障害、便秘、起立性低血圧、認知機能の低下、抑うつ、幻覚・妄想など、幅広い神経の症状をきたすことが知られています。

このように、運動症状を中心に幅広い症状をきたす疾患、それがパーキンソン病です。
50〜79歳の間に発症する方が多く、ゆっくりと進行してゆくため、患者さんの多くは高齢者となります。

訪問診療とパーキンソン病

当クリニックで訪問診療を行っているパーキンソン病の患者さんも、ほとんどが御高齢の方です。
比較的長い間(しばしば10年前後)脳神経内科専門医へ通院するうちに徐々に症状が進行し、通院が困難となり在宅医療へ切り替える方を多く経験します。
また、新型コロナウイルス感染症などの急性疾患への罹患に伴うADLの低下をキッカケに在宅医療へ切り替える方も多く見受けられます。
こういった背景から、当クリニックで診療を行っている患者さんの多くは、すでに経過の長い進行期の方となります。

では、進行期のパーキンソン病の患者さんを診療する我々訪問診療医に求められる役割とは何でしょうか。

在宅医療を利用されるパーキンソン病患者さんの中には、寝たきりに近い状態の方も少なくありません。
こうした方では頻回な訪問看護サービスを必要とする場合も多いため、訪問看護師との綿密な連携は必要不可欠です。
また、褥瘡のリスクを適切に評価し、ケアマネジャーと連携しながらエアマットなどの福祉用具を導入することも、訪問診療医の腕の見せどころとなります。

一方、進行期の患者さんでは、運動症状だけでなく幅広い症状が出現していることが多いため、パーキンソン病の治療薬の調節はもちろん、個別の症状への適切な対応も重要となります。
特に、認知機能の低下や幻覚・妄想などの症状は、介護者の方の大きな負担となるため、適切な薬剤の調節が不可欠となります。
また、パーキンソン病の進行期になると、薬剤の血中濃度が変動することで、身体を動かせなくなる、勝手に身体が動いてしまう、といった運動合併症と呼ばれる症状が出現します。

こうした症状を適切に評価しパーキンソン病治療薬を調節したり、必要に応じて専門医へ紹介することも、我々訪問診療医の大切な役割です。

パーキンソン病は訪問診療医も精通しておくべき疾患の一つ

以前にご紹介した心不全と同様に、パーキンソン病も訪問診療では多く遭遇するため、我々訪問診療医も精通しておかなくてはいけない疾患の一つです。
今後、パーキンソン病を患う患者さんが増えてゆくなかで、より質の高い在宅医療を提供出来るよう、日々の研鑽に努めてゆきたいと思います。

あい駒形クリニックの訪問診療解説シリーズ、今後も続けてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

<参考文献>
Dorsey ER et al. The Parkinson Pandemic-A Call to Action. JAMA Neurol.2018;75:9-10.

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 副院長

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

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