皆さん、こんにちは。
学会出張時の夕食は専らコンビニ弁当、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
2024年9月6日〜7日に兵庫県姫路市で開催された第26回日本褥瘡学会学術集会に参加、発表してきました。
研修医の頃に形成外科研修で褥瘡治療の基礎を学んで以降、訪問診療に携わるまで褥瘡を診療する機会がほとんどなかった私にとって、本学会への参加は知識をアップデートするための絶好の機会です。
昨年は初めての参加ということで、発表はせずに学会の雰囲気やトピックを確認しましたが、今回は満を持して発表をしてきました。
せっかくですので、学会参加で学んだ内容について、ブログの場を借りて少しご紹介したいと思います。

日本褥瘡学会学術集会の特徴
本学会は、医師だけでなく褥瘡診療に関わる様々な職種の方が参加されます。
耳鼻科関連学会の場合、スーツに身を固めた医師以外の職種の方はほとんど参加されないのですが、看護師やリハビリテーション職種、薬剤師など、本当にたくさんの職種の方が参加されており、耳鼻科の学会とはだいぶ雰囲気が異なります。
また、一般演題はそれほど多くない、というかかなり少ないのですが、参加される方の人数は非常に多く、会場は大混雑でした。
来年はパシフィコ横浜のようですが、この学会を開催出来る会場は全国でも限られていると感じるくらい、とにかく参加者数が多かったです。
せっかくこれだけの方が参加されるのであれば、もっと多くの方に発表して頂き、現場の生の声にもっと耳を傾けたり、横のつながりを作ったりしたいなと感じました。
褥瘡医療で在宅が注目されている理由
さて、昨年と比較するとトピックにも変化がありました。
昨年はCOVID-19に関連した褥瘡の企画が多く見られましたが、なんと今回は皆無。
相変わらずCOVID-19の流行は続いているにもかかわらず、たった1年でCOVID-19に対する世の中の関心がすっかり無くなっていることに驚きました。
在宅医療に関する企画は昨年同様に多く、今年は在宅に関連した企画が7セッション、一般演題が3セッションと、合計10セッションがありました。
褥瘡医療においてこれだけ在宅医療が注目されるのには理由があります。
それは、褥瘡の治療の場が、病院から在宅へシフトしつつあるという事実です。
発表を聴いていても、急性期病院の在院日数の短縮に伴い、褥瘡が治るまで病院で治療を継続出来ない、褥瘡が治るまで経過を追えない、という話を何度も耳にしました。
また同行訪問といって、病院に勤務するWOCN(皮膚・排泄ケア認定看護師)が訪問看護師に同行し、褥瘡ケアの実践・相談・指導を行う仕組みがありますが、実際に同行訪問をされている方の取り組みに関する発表も多くみられました。
このように、褥瘡の予防だけでなく、褥瘡の治療の主戦場も在宅になりつつあります。
我々在宅医や訪問看護師、訪問リハビリ、ケアマネージャーなど、在宅での褥瘡予防、そして治療に関わる全ての職種が、このことを理解したうえで日々の褥瘡診療の質を高めてゆく必要があると、再認識しました。
発表演題「訪問ポケット切開・デブリードマンを行い良好な経過を辿った褥瘡の2例」
そんな背景を受けて私も、当クリニックにおける褥瘡診療の取り組みに関して発表を行いました。
演題名は「訪問ポケット切開・デブリードマンを行い良好な経過を辿った褥瘡の2例」です。
当クリニックでは、様々な理由で病院への受診や入院が難しい方を対象に、訪問での褥瘡手術を行っています。
デブリードマンといって、壊死した組織を褥瘡から取り除いて創部をきれいにする処置が中心ですが、時には褥瘡ポケットの切開など、もう一歩踏み込んだ手術を行っています。
今回の発表も、訪問でポケット切開術とデブリードマンを行い褥瘡が改善した症例について発表を行いました。
我々のような形成外科・皮膚科専門医ではない医師が褥瘡手術を行うことについて、専門の先生より否定的なコメントを頂くのではないかと、正直かなり不安だったのですが、「先生方のような取り組みをしてくださる先生が増えると我々病院の医師も助かります」という温かいコメントを頂くことが出来ました。
訪問での手術は、病院のような複雑な手術は出来ず、清潔操作にも限界があるため、その適応は慎重に選ぶ必要があります。
ただ、費用を抑えられるだけでなく、患者さんが住み慣れた環境で治療を継続することが出来るという大きなメリットがあります。
これからも日々の褥瘡診療に取り組んでゆきます

今年も学びの多かった褥瘡学会。
学んだことを全スタッフへ共有し、日々の褥瘡診療に活かしていけるよう、これからも努力してゆきたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!




