こんにちは。あい駒形クリニック看護師の髙橋大介です。
先日、前橋市職員の方々と災害対策について意見交換を行う機会がありました。
地域における災害対策の一環として、在宅医療における災害対策について考える貴重な機会となりましたので、本ブログにてご報告いたします。
私は現在、当クリニックで訪問診療の看護師として働くほか、看護学校や医療大学で災害看護学の講義を担当しています。

また、国際的な野外医療教育機関であるWilderness Medical Associates International公認インストラクターとして活動しています。

日本DMAT隊員や空飛ぶ捜索医療団ARROWS Roster 隊員としての活動を通して、災害現場での医療支援にも携わってきました。
こうした経験から、地域における災害医療体制の重要性を強く感じています。
その視点から、今回前橋市職員の方々と「在宅医療患者の災害時対応」をテーマに意見交換を行いました。
在宅患者さんの災害時対応
在宅療養中の方や医療依存度の高い患者さんは、災害時に生命の危機に直結するリスクを抱えています。
・人工呼吸器を装着されている方
・在宅酸素療法を受けている方
・透析を受けている方
・医療機器を使用している方
・継続的な薬剤管理が必要な方
こうした処置・管理を受けている方々は、停電・断水・交通遮断など、ライフラインが絶たれたときに生命に直結する問題が起きやすいという現実があります。
研修を通してよく聞く現場の声
研修などを通してよく聞く現場の声は「具体的に何をしたらよいかわからない」というものです。
災害対策は大切だと分かっていても、実際に何から始めればよいのか分からないという状況が全国的にも多いと感じています。
災害時対応で重要な3つの視点
そこで、今回の意見交換では次の3つの視点を中心に整理しました。
発災直後〜3日間
多くの場合、DMAT(災害派遣医療チーム)などの外部支援が本格的に入るまでにはかなりの時間を要することが予想されます。
つまり、災害が発生してから最初の3日間は地域で支える必要があるということです。
この期間をどう乗り切るかが、いのちをつなぐために、非常に重要なポイントになります。
「自助」の強化
また災害時対応では、まず自分自身の命を守る行動=自助が基本となります。
そのためには、
・備蓄
・避難方法の確保
・連絡手段の確保
・内服薬や医療資材の備え
など、日頃から準備しておくことが重要です。
特に在宅療養者の場合、患者さん本人やご家族が災害への備えをしておくことが、命を守るうえで非常に重要になります。
そのうえで、訪問診療クリニックや保健師、ケアマネジャー、訪問看護をはじめとする支援する側も平時から情報共有や体制づくりを行い、災害時に対応できる準備をしておくことが重要です。
患者さんの把握
災害時には、
・誰が
・どこに住んでいて
・どんな医療機器を使用しているのか
を把握しておくことが重要です。
例えば、
・独居(一人暮らし)であるか
・医療機器を使用しているか
・在宅酸素を使用しているか
・透析を受けているか
などを整理しておくことで、優先的に安否確認すべき患者さんが明確になります。
災害は「準備」で変わる
災害は「準備」で変わる、と災害医療の世界ではよく言われます。
つまり、準備していた地域は命を守ることができ、準備していない地域はより大きな混乱に直面するということです。
今回の意見交換は、行政・医療・地域が連携して災害に備える大切な一歩だと感じました。
小さな積み重ねですが、こうした取り組みが地域の命を守る力になると信じています。
今後も前橋市との連携を継続し、地域における災害対策の取り組みを進めていく予定です。
また、地域の医療関係者、ケアマネジャー、訪問看護師、介護施設などを対象とした災害対策に関する研修会や勉強会についても、前橋市と連携しながら担当することになりました。
災害は、いつ起きるか分かりません。
だからこそ「起きる前に準備しておくこと」が何より大切です。
行政、医療、介護、地域がそれぞれの役割を持ち、平時からつながりをつくり、備えておくこと。
その積み重ねが、災害時に「一人でも多くの命を守ることにつながる」と考えています。
これからも、現場の視点を大切にしながら地域の防災力向上に関わっていきたいと思います。




