皆さん、こんにちは。
出張続きで持病の腰痛が悪化しました、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
先日京都府京都市で開催されたThe 9th JCA-AACR Special Joint Conferenceに参加し、ポスター発表を行ってきました。

普段参加している日本の学会とは少し雰囲気が異なり、AACR(American Association for Cancer Research:米国癌学会)のスタイルを取り入れた非常に刺激的な学会でした。
今回は学会の様子や、自分の研究発表について紹介したいと思います。
JCA-AACR Special Joint Conferenceとは

JCA-AACR Special Joint Conferenceは、日本癌学会(JCA)と米国癌学会(AACR)が共同で開催する国際学会です。
AACRは世界最大級の基礎・トランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)を中心としたがん基礎研究の学会であり、世界中の研究者が最新の成果を発表しています。
このため、今回の学会でも、
- がん免疫と腫瘍微小環境
- ウイルス発癌
- Liquid Biopsy
- 光免疫療法
など、現在のがん研究を牽引するテーマについて数多くの講演・発表が行われました。
日本国内で開催されながら、国際学会ならではの雰囲気を味わえる非常に貴重な機会でした。
発表演題:Cancer-Associated Fibroblast Subtypes Define Distinct Immune Landscapes in Head and Neck Cancer
今回私は「Cancer-Associated Fibroblast Subtypes Define Distinct Immune Landscapes in Head and Neck Cancer」と題したポスター発表を行いました。

がん組織は、がん細胞だけでできているわけではありません。
その周囲には免疫細胞や血管、線維芽細胞など様々な細胞が存在し、これらを合わせて腫瘍微小環境と呼びます。
その中でもCAF(Cancer-Associated Fibroblast:がん関連線維芽細胞)は、がんの増殖や転移、免疫療法への反応に大きく関わることが分かってきています。
しかし、一口にCAFといっても実際にはさまざまな種類が存在し、それぞれ異なる役割を持っています。
今回の研究では、頭頸部癌のシングルセルRNAシーケンスデータを解析し、CAFを6つのサブタイプに分類しました。
この結果、
- CAFにはそれぞれ異なる遺伝子発現パターンが存在すること
- 特定のCAFはCD8陽性T細胞(がんを攻撃する免疫細胞)の機能状態と関連していること
が明らかになりました。
つまり、「CAF」は一括りにできる存在ではなく、それぞれ異なる免疫環境を作り出している可能性が示されました。
今後、CAFの違いを理解することは、免疫療法の効果を高める新しい治療標的の発見につながることが期待されます。
ポスター発表では、多くの先生方から貴重なご質問やご意見をいただき、自分では気付かなかった視点を得ることができました。
The 9th JCA-AACR Special Joint Conferenceの特徴
今回の学会で最も印象的だったのは、「まるでAACRに参加しているような雰囲気」でした。
発表や質疑応答はもちろん全て英語で行われ、質問も非常に活発でした。
基礎研究から臨床応用までを見据えたトランスレーショナルリサーチの発表が多く、「この研究をどう患者さんへ還元するか」という視点が強く意識されていることを実感しました。
また、頭頸部癌、食道癌、胃癌といった消化管・頭頸部領域の研究を横断的に学ぶことができたことも大きな収穫でした。
さらに、自身の研究分野である頭頸部癌について、
- 現在どのような研究が注目されているのか
- 臨床ではどのような課題が議論されているのか
を確認することができ、今後の研究の方向性を考える上でも非常に有意義な学会となりました。
国際学会ならではの交流も
学会期間中の懇親会では、多くの研究者の先生方と交流することができました。
特に印象的だったのは、以前留学先で同じ研究施設に勤務されていた先生と偶然再会できたことです。
国際学会ならではの「思わぬ再会」があり、研究を続けていると人とのつながりが広がっていくことを改めて実感しました。
さらに二次会「Head and Neck Night」にも参加しました。
頭頸部癌の臨床・研究をリードされている先生方と直接お話しする機会をいただき、貴重なお話を伺うことができました。
学会の魅力は発表を聞くだけではなく、このような研究者同士の交流にあることも改めて感じました。
得た経験を今後の研究に活かしていきます
JCA-AACR Special Joint Conferenceは、日本にいながら国際学会AACRの雰囲気を体験できる非常に刺激的な学会でした。
今回のポスター発表では、自身の研究成果を発信するとともに、多くの先生方から貴重なフィードバックをいただくことができました。
また、最新の研究動向を学び、新しい研究のアイデアや今後の方向性について考えるきっかけにもなりました。
今回得られた経験を今後の研究に活かし、頭頸部癌の治療に少しでも貢献できるよう研究を続けていきたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!





