皆さん、こんにちは。
久しぶりにラーメンを食べに行ったら2回も替え玉を注文し、スープを飲み干してしまいました、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
そんな塩分取りすぎな私ですが、本日は、慢性腎臓病(CKD)のお話です。
在宅医療でも身近な慢性腎臓病(CKD)
高齢化が進むなかで、慢性腎臓病(CKD)を抱える方は年々増えており、在宅医療の現場でもとても身近な病気になっています。
CKDというと「腎臓の病気」というイメージが強いかもしれませんが、実際には全身の健康や生活の質に大きく関わる、長い経過をたどる慢性の病気です。
この記事では、CKDの基本的な考え方から、在宅での付き合い方、透析という治療の選択、そして人生の最終段階でのケアまで、できるだけわかりやすくお伝えします。
慢性腎臓病(CKD)とはどんな病気か
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが少しずつ低下していく状態や、尿にたんぱくが出るなどの異常が長く続く状態を指します。
原因として多いのは糖尿病や高血圧で、加齢による影響も少なくありません。
この病気で大切なのは、「腎臓が悪くなること」そのものだけではないという点です。
腎機能が低下すると、心臓や血管の病気が起こりやすくなったり、筋力が落ちやすくなったりします
また、薬の効き方が変わることで、副作用が出やすくなることもあります。
そのため在宅医療では、検査の数値だけを見るのではなく、「その人がどのように生活できているか」「どんな症状で困っているか」といった視点がとても大切になります。
在宅医療でのCKDとの付き合い方
在宅医療では、病院のように頻繁な検査や治療が難しいこともあります。
その分、日々の生活の中で無理なく続けられるケアが重要になります。
血圧・血糖のコントロールは患者さんに合った目標で
まず、病気の進行をゆるやかにするためには血圧や血糖のコントロールが基本になります。
ただし、高齢の方では厳しく管理しすぎることで、ふらつきや低血糖といった別の問題が起こることもあるため、患者さんに合った目標を考えることが大切です。
また、脱水は腎臓に大きな負担をかけるため、水分のとり方にも注意が必要です。
本当に必要な薬だけを残す
薬についても慎重な対応が求められます。
「NSAIDs」と呼ばれる痛み止めの一部は腎臓に負担をかけることがあるため注意が必要ですし、腎臓から排泄される薬は量の調整が必要になることがあります。
さらに、薬が増えすぎてしまう「ポリファーマシー」もよくある問題で、「本当に必要な薬だけを残す」という考え方がとても重要になります。
食事は「制限」だけにとらわれない
食事についても、「制限すること」だけにとらわれないことが大切です。
特に高齢の方では、食事量が減ってしまうことのほうが大きな問題になることがあります
「無理なく食べられること」を大事にしながら、その人に合ったバランスを考えていきます。
また、CKDが進んでくると、だるさや食欲低下、かゆみ、むくみ、息苦しさなど、さまざまな症状が出てきます。
これらは日常生活に大きく影響するため、ひとつひとつ丁寧に和らげていくことが、在宅医療ではとても重要です。
透析という選択
腎臓の働きが大きく低下すると、「透析」という治療を検討する段階になります。
透析には主に「血液透析」と「腹膜透析」という2つの方法があります。
通院で行う「血液透析」
ひとつは血液透析で、週に数回、病院やクリニックに通って血液をきれいにする方法です。
医療スタッフのもとで行われるため安心感がありますが、通院の負担が大きく、特に体力が低下している方や在宅療養中の方には負担になることもあります。
また、透析後にぐったりしてしまう方も少なくありません。
自宅で行える「腹膜透析」
もうひとつは腹膜透析で、お腹の中にある腹膜を使って老廃物を取り除く方法です。
自宅で行うことができるため、生活のペースを保ちやすいという利点があります。
ただし、感染(腹膜炎)のリスクがあり、日々の管理にはご本人やご家族の協力が欠かせません。
透析を行わない「保存的腎臓療法」という選択肢
最近では、透析をあえて行わず、症状を和らげながら生活を支えていく「保存的腎臓療法」という考え方も広がっています。
近年の研究では、80歳以上の高齢者において、血液透析と保存的腎臓療法の間で生命予後に明確な差が認められない場合があること、また生活の質の観点では保存的腎臓療法が優れる可能性が示唆されています。
特にご高齢の方や持病の多い方では、透析を始めることが必ずしも生活の質の向上につながらない場合もあり、その人にとって何が大切かを丁寧に考えることが重要です。
末期腎不全と緩和ケア
腎臓の働きがさらに低下し、いわゆる終末期に近づくと、医療の目標は「長く生きること」から「その人らしく過ごすこと」へと少しずつ変わっていきます。
この時期には、息苦しさや強いだるさ、かゆみ、不安や落ち込みといったつらい症状が現れることがあります。
それぞれに対して、体の状態に合わせた薬やケアを組み合わせながら、できるだけ楽に過ごせるよう支えていきます。
同時に、とても大切になるのが今後の治療や過ごし方についての話し合い、すなわち「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」です。
透析をするかどうか、続けるかやめるか、どこで過ごしたいかといった選択は、正解がひとつではありません。
その人の価値観やこれまでの人生を大切にしながら、ご本人やご家族と一緒に考えていくことが重要です。
在宅医療では、日々の関わりの中で少しずつこうした話し合いを重ねていけることが大きな強みです。
あい友会の慢性腎臓病への取り組み
当クリニックが所属する医療法人あい友会には、「腎臓内科・腹膜透析チーム」という専門領域があり、所属する医師や看護師などのスタッフが日々研鑽を積んでいます。
このチームでは、患者さんへの在宅腹膜透析の導入・管理や腎性貧血への積極的な介入のほか、地域の基幹病院との連携など、法人全体の慢性腎臓病治療を専門的に推し進めています。
また、本記事の執筆にあたっては、チームの齋藤中哉医師に専門的な見地から監修をいただきました。
在宅での慢性腎臓病のケアや、自宅での腹膜透析についてご不安や困りごとがございましたら、お気軽に当クリニックへお声がけください。
在宅医療におけるCKDは「その人がどのように生活したいか」を中心に考える
在宅医療におけるCKDとの向き合い方は、「腎臓の数値をよくすること」だけが目標ではありません。
むしろ、「その人がどのように生活したいか」を中心に考えることが大切です。
治療を頑張ることも、負担を減らすことも、どちらも大切な選択です。
大事なのは、その人が納得できる形で日々を過ごせることです。
在宅医療は、そのための対話と支えを続けていく医療と言えるでしょう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!




