皆さん、こんにちは。
学会シーズンで大忙し、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
今日は、在宅医療でよく行われる「点滴と注射」についてのお話です。
在宅医療で行う点滴・注射とは?
在宅医療では、点滴や注射は日常的に行われる治療手段です。
当クリニックでも、医師が必要と判断した場合には薬剤を処方し、訪問看護師と連携しながら施行しています。
- 点滴:静脈に針を留置し、一定時間かけて薬液を注入する医療行為。
在宅では、腕や足などの末梢血管から行う「末梢点滴」が一般的です - 注射:静脈注射、皮下注射、筋肉注射など種類は様々です。
点滴は多くの場合、連日行う必要がありますが、医師が毎日往診することは通常困難です。そのため訪問看護師が重要な役割を担い、特別訪問看護指示書に基づいて2週間以内を目安に行われることが一般的です。
注射は薬剤によって頻度が異なり、週2回から半年に1回まで幅広く、訪問看護師または医師が施行します。
点滴を行う「様々な理由」
在宅で点滴を行う主な理由は大きく2つあります。
感染症の治療
特に高齢者では、経口摂取が不十分になりやすく、経口抗菌薬では対応しきれない感染症が疑われる場合、抗菌薬の点滴と水分補給を併用します。
病院のように1日3〜4回投与することは難しいため、在宅では1日1回で効果のある薬剤を選ぶことが多いです。
水分摂取の不足
全身状態の悪化や熱中症などで経口摂取が低下した際、水分補給目的で点滴が行われます。
ただし、点滴で状態が改善し経口摂取が再開できる場合もあれば、残念ながらそうでない場合もあります。
このとき、「いつまで点滴を続けるべきか」という難しい判断が必要になります。
点滴は多少の延命効果を期待できますが、栄養はほとんど補えず、自然な経過とのバランスを考えなければなりません。
ご家族の悩みとACPの重要性

点滴を続けるかどうかの決断は、ご本人が意思表示できないことが多いため、ご家族が苦悩する場面が少なくありません。
こうした時のために重要なのが ACP(アドバンス・ケア・プランニング) です。
ACPとは、将来どのような医療や介護を受けたいかを、元気なうちに家族と話し合っておくことを指します。
「点滴を受けたいか」「延命を希望するか」――縁起でもないと思われるかもしれませんが、避けて通れないテーマです。
早めに考えておくことで、ご家族の負担を軽くすることができます。
在宅医療で使用できる薬剤の制限
在宅で点滴投与できる薬剤は法律で定められており、種類は限られています。
副作用の管理が難しい抗がん剤などは原則として使用できず、抗菌薬と水分補給が中心です。
例外的に、大腸がんによる腸閉塞症状を緩和する薬剤など、特殊なケースがあります。
注射の種類と注意点
一方、注射には様々な種類があります。
当クリニックで多いのは以下です。
- 予防接種
- 骨粗鬆症治療薬
- 腎性貧血治療薬
- 前立腺疾患に対するホルモン注射
その他、頻度は少ないですが、心不全悪化時の利尿剤、がん性疼痛のモルヒネ持続皮下注射、ALS治療薬などの投与も行うことがあります。
ただし在宅では十分な検査が難しいため、専門医との連携が欠かせません。
また、注射は針を刺す痛みを伴い、効果とのバランスを常に考える必要があります。
過剰な医療を避け、ご本人にとって本当に意味のある治療かどうかを、医療者は常に考えなければなりません。
まとめ
以上、あい駒形クリニックにおける点滴と注射についてのお話でした。
今後も、「患者さんにとって本当に必要な医療は何か」を常に考えながら、在宅医療を実践していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




