2024.05.07

耳鼻科往診|のどの痛みのお話

皆さん、こんにちは。
まだ肌寒い3月上旬のうちに半袖シャツを4枚も買ってしまった、あい駒形クリニックの高橋秀行です。
本シリーズでは、当院の「耳鼻科往診」に関連して、耳鼻科の病気のお話をさせて頂いています。
今日は、のどの痛みのお話です。

のどの痛みは「奥が深い」症状

この記事を読んでいる方のなかで、のどの痛みという症状を経験したことがない方は、おそらくいないのではと思うほど、ありふれた症状ではありますが、意外と奥が深い症状でもあります。

のどの痛みに関係する部位

以前のブログでのどの診察についてお話しましたが、「のど」に関する症状の場合、口腔・上咽頭・中咽頭・下咽頭・喉頭の5部位が関係してきます。

「のどの痛み」を自覚している場合、このいずれかの部位、特に上中下の咽頭に異常を来している可能性が高くなります。

のどの痛みの原因

痛みの原因として最も多いのは、粘膜の炎症です。
粘膜の炎症を起こす原因としては、常在菌と呼ばれる細菌や外からやってくるウイルスが代表的です。

ウイルスや細菌、真菌によるのどの痛み

最近ですと、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスは、咽頭の粘膜上皮細胞に入り込んで増殖する代表的なウイルスです。
他には、ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルス、アデノウイルスなど、のどに炎症を引き起こすウイルスは多く存在します。
細菌やウイルス以外だと、免疫力が低下した場合に真菌(カビの一種)であるカンジダが、口腔や咽頭の粘膜で増殖し炎症を起こすことがあります。

病気による喉の痛み

上述した感染症以外にも、のどに痛みを引き起こす病気がいくつかあります。
ひとつは、自身の免疫が過剰に働いてしまい、粘膜を攻撃してしまう場合です。
代表的な疾患としては、天疱瘡や類天疱瘡、クローン病等が挙げられます。

天疱瘡(てんぽうそう)や類天疱瘡(るいてんぽうそう)は、皮膚や粘膜の上皮細胞の相互の接着が上手くいかなくなる病気で、皮膚や口腔・咽頭に潰瘍が多発することで発症します。
頻度は比較的稀ではありますが、耳鼻科医のキャリアの中で何度か出会うことがあります。

クローン病は腸を中心に消化管に炎症や潰瘍を引き起こす病気で、原因ははっきりわかっていませんが、免疫系の関与が示唆されています。
口腔や咽頭に病変を認めることは稀で、私自身まだ患者さんに出会ったことがありませんが、なかなか治らない口腔・咽頭の潰瘍を診た際は、鑑別疾患として頭の片隅に入れておく必要があります。

その他の喉の痛みを引き起こす原因

その他にのどの痛みを引き起こすケースとしては、胃酸が食道を超えて咽頭まで逆流することで慢性的な炎症を引き起こす場合や、悪性腫瘍に伴い潰瘍が出来て痛みが出る場合もあります。
また、魚の骨に代表される異物による痛みも多く遭遇する症状ですので、問診で確認する必要があります。

のどの痛みを感じた場合は耳鼻科医に相談を

このように、のどの痛みの原因は様々で、治療方針も疾患によって様々ですが、正確に診断するには口腔からの観察に加えて内視鏡での観察も必要となる場合が多いため、のどの痛みを感じた場合は、耳鼻科医に相談されることをオススメいたします。
当院でも耳鼻科往診の幅を拡げるべく、持ち運び可能な内視鏡の追加購入を検討しております。今後ものどの症状でお困りの患者さんのお力になれるよう、活動してゆきたいと思います。

耳鼻科往診の解説シリーズ、今後も続けてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

髙橋 秀行
この記事の執筆者
あい駒形クリニック 医師

髙橋 秀行 (たかはし ひでゆき)

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